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「走るホテル」中国版ブルートレインで週末に北京や上海へ!2025.08.29

寝台新幹線ならぬ夜行寝台超特急。日本では構想段階で躓いているが、それを中国が実現した
では、高速鉄道並みのスピードで、しかも効率的に移動できる乗り物はないのでしょうか。その答えのひとつが中国版ブルートレインの「夜行寝台超特急」です。日本では今では見られなくなった夜行寝台特急のブルートレインが中国では今でも大人気。夜行寝台特急だけでなく、高速鉄道(日本の新幹線)の夜行寝台車版もあるから、広州深圳から上海や北京に寝ながら高速移動して、週末旅行をたっぷりと満喫できます。今回は、この寝台動車組の魅力をたっぷりご紹介します。
夏のオリンピック終了時より登場
ただし課題もありました。高鉄がない当初は在来線を走行していたため、本来の高速運転能力を活かしきれず、走行中もどこかストレスのある乗り心地だったのです。
特に北京〜深圳間(約2400㎞)では、北京を夜20時に発車し、翌朝6時に広州、7時台に深圳北に到着するダイヤが実現。片道12時間かからずに走破できるようになったのです。
もっとも、夜間の保線作業との兼ね合いから、運行は金・土・日・月の週4日に限られています。それでも、週末を挟んだ便利なダイヤのおかげで、夜行寝台超特急は多くの利用者にとって現実的な選択肢となりました。
北京や上海への出張が多いビジネスマンのなかには、華南では5月から9月にかけて突然の雷雨で飛行機が遅延や欠航になることを経験しているため、あえて夜行寝台の超特急を選ぶ人もいます。ホテル代の節約にもなるという理由からです。
2025年時点の広州発の夜行寝台超特急の
運行区間
D924次 珠海19:10→広州南20:12→北京西06:27
D902次 深圳北18:24→広州19:55→広州北21:21→06:32
D904次 深圳北18:34→広州20:04→広州北20:29→北京西06:43
G898次 香港西九龍20:35→深圳北20:50→広州南21:25→北京西06:53
D928次 潮汕17:51→深圳北19:39→広州南20:22→北京西06:59
D933次 佛山西18:55→広州南19:19→深圳北20:05→上海虹橋06:50
D937次 広州南19:23→深圳北20:10→上海虹橋06:55
走るホテルにふさわしい内装と乗り心地
2階建て夜行寝台超特急は現在北京西〜広州〜深圳北を結んでいる
北京西/上海虹橋から香港西九龍に向かうG寝台高鉄。車両はCR400AF-AE
1編成は16両の固定編成で構成されており、先頭と最後尾は座席車、それ以外は食堂車とオール軟臥車両。軟臥とはソフトベッド仕様の寝台で、1室4人部屋、ベッドは2段×2つの配置。1車両に10室あるため、13両分で 最大520人もの乗客が眠れる「走るホテル」 となります。個室のメリットは静けさ。外の音がしっかり遮断され、車内は落ち着いた雰囲気です。ただし、基本は知らない人との相部屋になるため、いわゆる「乗客ガチャ」に当たるか外れるかは運次第。これは夜行旅ならではのスリルとも言えるでしょう。
夜行寝台超特急の軟臥個室内
プルマン寝台の様子。3枚目は食堂車を改装して座席部分を軟臥にした
こうして見ると、夜行寝台超特急は「静かな個室で快眠」か「相部屋での一期一会」か、あるいは「珍しい横向きベッド体験」かと、まるで旅のスタイルを選ぶ楽しさに満ちた列車です。走るホテルと呼ばれるにふさわしい内装と乗り心地、あなたならどのタイプを選びますか?
旅行例、広州から上海へ快適12時間の旅
D937次の移動ルート
出発は夜の19時23分。改札は発車の20分前から始まるので、広州南駅へは少なくとも30分前には到着しておきましょう。車両はCRH1E型で、2010年から走り続けるベテラン車両ですが、内装は驚くほどきれい。ベッド数に合わせたスリッパも用意され、個室テーブル下には2種類のACアダプター、通路にも数カ所のコンセントが設置されています。トイレは洋式と和式が1室ずつ、洗面台は車両の片側にまとまっており、機能性は十分です。
昼間なら、田園風景や水鳥、牡蠣の養殖場、客家の集団建築など、魅力的な景色が次々と広がるルートですが、夜行便ではそれを見ることはできません。そんなときは潔くベッドで横になるか、食堂車で「レンチン弁当」を楽しむのもおすすめです。ここ数年でメニューが充実し、早めに行けば選べる楽しさも。車窓に広がる真っ暗な景色を肴に軽く一杯、これこそ夜行列車旅の醍醐味ではないでしょうか。強制消灯はありませんが、多くの乗客は22時前後には眠りにつきます。
翌朝6時前、杭州東駅に到着するアナウンスで目が覚めます。ここを発車すると、東の空から昇る朝日が車窓を染め上げ、まさに爽快な1日の始まり。やがて7時前には上海虹橋駅に到着です。到着後は駅構内のレストランで朝食を取り、そのまま地下鉄やバスで街へ繰り出しましょう。朝に到着するからこそ、たっぷりと遊べる時間が手に入ります。
効率よく、しかも旅情を存分に味わえる。それが夜行寝台超特急の一番の魅力なのです。
上海を1日楽しむ方法―その①。
ディズニーランドと外灘夜景
上海ディズニーランド
キラキラ上海を代表する上海外灘の夜景は、SNSの映えスポットとして常時混んでおり、交通規制がかかっている(一方通行)
上海を1日楽しむ方法②
西洋と中国が交差する魅力を散策
2025年6月末に南京西路に登場したクルーズ船タイプ店舗のル・カフェ ルイ・ヴィトン
新天地では洋館風の建築や雑貨店が並び、写真撮影や買い物も楽しめます。途中で南京西路に登場したルイ・ヴィトンのクルーズ船型店舗「ル・カフェ、ルイ・ヴィトン」で贅沢なひとときを過ごしたり、「スターバックス リザーブ・ロースタリー上海」で世界最大級のコーヒー体験を楽しむのも特別な時間です。
世界最大級のコーヒー体験を楽しめるスターバックス リザーブ・ロースタリー 上海
広州への戻りは再び夜行寝台超特急で。週末たっぷり楽しめる移動旅と上海満喫を是非体験してみてください。