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「走るホテル」中国版ブルートレインで週末に北京や上海へ!2025.08.29

寝台新幹線ならぬ夜行寝台超特急。日本では構想段階で躓いているが、それを中国が実現した

 広大な中国を旅するのは一筋縄ではいきません。夏場の飛行機は遅延が多く、長距離列車も1500㎞ほどの移動に12時間近くかかることがあります。全国各地で高速鉄道網が整備されつつありますが、運行の多くは昼間に限られ、せっかくの貴重な時間が移動で終わってしまうのが難点です。
では、高速鉄道並みのスピードで、しかも効率的に移動できる乗り物はないのでしょうか。その答えのひとつが中国版ブルートレインの「夜行寝台超特急」です。日本では今では見られなくなった夜行寝台特急のブルートレインが中国では今でも大人気。夜行寝台特急だけでなく、高速鉄道(日本の新幹線)の夜行寝台車版もあるから、広州深圳から上海や北京に寝ながら高速移動して、週末旅行をたっぷりと満喫できます。今回は、この寝台動車組の魅力をたっぷりご紹介します。 

夏のオリンピック終了時より登場

 夜行寝台超特急の運行が始まったのは、北京オリンピックが終わった2008年12月のこと。当時は北京〜上海間で1日5往復が設定されていました。ダイヤは夜20時台に出発し、翌朝7時台に到着するというもので、最速で10時間台で両都市を結んでいました。2010年の上海万博の時期には、どの列車も常に満席で、切符を手に入れるのが難しいほどの人気を集めました。
ただし課題もありました。高鉄がない当初は在来線を走行していたため、本来の高速運転能力を活かしきれず、走行中もどこかストレスのある乗り心地だったのです。
 状況が大きく変わったのは2012年。すでに開業していた京広高速鉄道(北京西〜広州南〜深圳北、のちに香港西九龍まで延伸)や杭深高速鉄道(杭州東〜寧波〜厦門北〜深圳北)を走行できるようになり、時速250㎞の高速区間を活かして、それぞれおよそ12時間で結ぶことが可能になりました。
特に北京〜深圳間(約2400㎞)では、北京を夜20時に発車し、翌朝6時に広州、7時台に深圳北に到着するダイヤが実現。片道12時間かからずに走破できるようになったのです。
もっとも、夜間の保線作業との兼ね合いから、運行は金・土・日・月の週4日に限られています。それでも、週末を挟んだ便利なダイヤのおかげで、夜行寝台超特急は多くの利用者にとって現実的な選択肢となりました。
北京や上海への出張が多いビジネスマンのなかには、華南では5月から9月にかけて突然の雷雨で飛行機が遅延や欠航になることを経験しているため、あえて夜行寝台の超特急を選ぶ人もいます。ホテル代の節約にもなるという理由からです。 

2025年時点の広州発の夜行寝台超特急の

運行区間

北京行き(金・土・日・月)
D922次 湛江西17:13→広州南20:04→北京西06:22
D924次 珠海19:10→広州南20:12→北京西06:27
D902次 深圳北18:24→広州19:55→広州北21:21→06:32
D904次 深圳北18:34→広州20:04→広州北20:29→北京西06:43

G898次 香港西九龍20:35→深圳北20:50→広州南21:25→北京西06:53
D928次 潮汕17:51→深圳北19:39→広州南20:22→北京西06:59
上海虹橋行き(金・土・日・月)
D943次 珠海18:14→広州南19:33→深圳北20:16→上海虹橋06:45
D933次 佛山西18:55→広州南19:19→深圳北20:05→上海虹橋06:50
D937次 広州南19:23→深圳北20:10→上海虹橋06:55
重慶・成都行き(木・金・土・日)
D961次 汕尾19:28→深圳北20:38→広州南21:38→重慶西06:07→成都東07:53→広元09:38

 

走るホテルにふさわしい内装と乗り心地

2階建て夜行寝台超特急は現在北京西〜広州〜深圳北を結んでいる

 

北京西/上海虹橋から香港西九龍に向かうG寝台高鉄。車両はCR400AF-AE

 夜行寝台超特急には、CRH1E、CRH2E、CRH2E第2世代、CRH2Eプルマンタイプ、CRH5E、CR400AF-AEの5種類の車両が存在します。このうち量産化されているのはCRH1E、CRH2E、CR400AF-AEで、それ以外はわずか2〜3編成のみ製造されただけの“試作的存在”とも言えるレア車両です。
1編成は16両の固定編成で構成されており、先頭と最後尾は座席車、それ以外は食堂車とオール軟臥車両。軟臥とはソフトベッド仕様の寝台で、1室4人部屋、ベッドは2段×2つの配置。1車両に10室あるため、13両分で 最大520人もの乗客が眠れる「走るホテル」 となります。個室のメリットは静けさ。外の音がしっかり遮断され、車内は落ち着いた雰囲気です。ただし、基本は知らない人との相部屋になるため、いわゆる「乗客ガチャ」に当たるか外れるかは運次第。これは夜行旅ならではのスリルとも言えるでしょう。

 

夜行寝台超特急の軟臥個室内

 

プルマン寝台の様子。3枚目は食堂車を改装して座席部分を軟臥にした

 一方で、変わり種として存在する CRH2Eプルマンタイプ は、16両すべてが寝台車。通常の縦向きベッドと異なり、線路と並行する横向きベッドが特徴です。ユニークですが、デメリットも。窓側ベッドにあたると荷物置き場に困ったり、仕切りがカーテン1枚だけなので、通路を歩く人の足音や物音がダイレクトに響いてきます。音に敏感な人にとっては少々厳しい環境かもしれません。
こうして見ると、夜行寝台超特急は「静かな個室で快眠」か「相部屋での一期一会」か、あるいは「珍しい横向きベッド体験」かと、まるで旅のスタイルを選ぶ楽しさに満ちた列車です。走るホテルと呼ばれるにふさわしい内装と乗り心地、あなたならどのタイプを選びますか?

 

旅行例、広州から上海へ快適12時間の旅

D937次の移動ルート

 約1600㎞離れた広州から上海へ寝台動車組で向かうなら、断然おすすめは D937次。この列車は広州南駅始発なので、途中駅から乗るより切符が手に入りやすいのが魅力です。運賃は二等席590元〜、軟臥下段830元〜。曜日や季節で価格が変わる変動価格制なので同記事に載っている価格は参考程度にしてください。比較対象となる長距離列車Z100次よりも 約6時間も早く到着できるため、移動の快適さは段違いです。
出発は夜の19時23分。改札は発車の20分前から始まるので、広州南駅へは少なくとも30分前には到着しておきましょう。車両はCRH1E型で、2010年から走り続けるベテラン車両ですが、内装は驚くほどきれい。ベッド数に合わせたスリッパも用意され、個室テーブル下には2種類のACアダプター、通路にも数カ所のコンセントが設置されています。トイレは洋式と和式が1室ずつ、洗面台は車両の片側にまとまっており、機能性は十分です。

 夜の闇をスルリと抜け出すように発車した列車は、まず珠江の海底トンネルを越えて深圳北駅に停車。ここで一気に乗客が増え、にぎやかな雰囲気に。発車後は進行方向を北東に変え、沿岸都市を縫うように東上していきます。
昼間なら、田園風景や水鳥、牡蠣の養殖場、客家の集団建築など、魅力的な景色が次々と広がるルートですが、夜行便ではそれを見ることはできません。そんなときは潔くベッドで横になるか、食堂車で「レンチン弁当」を楽しむのもおすすめです。ここ数年でメニューが充実し、早めに行けば選べる楽しさも。車窓に広がる真っ暗な景色を肴に軽く一杯、これこそ夜行列車旅の醍醐味ではないでしょうか。強制消灯はありませんが、多くの乗客は22時前後には眠りにつきます。

 深夜の走行速度はおよそ時速250㎞。途中駅で運転停車することもありますが、線形が直線的なため揺れは少なめ。ベッド下から響くモーター音と、微妙な揺れが心地よい子守唄となり、気づけば深い眠りの中へ誘ってくれます。
翌朝6時前、杭州東駅に到着するアナウンスで目が覚めます。ここを発車すると、東の空から昇る朝日が車窓を染め上げ、まさに爽快な1日の始まり。やがて7時前には上海虹橋駅に到着です。到着後は駅構内のレストランで朝食を取り、そのまま地下鉄やバスで街へ繰り出しましょう。朝に到着するからこそ、たっぷりと遊べる時間が手に入ります。
効率よく、しかも旅情を存分に味わえる。それが夜行寝台超特急の一番の魅力なのです。

 

 

上海を1日楽しむ方法―その①。

ディズニーランドと外灘夜景

上海ディズニーランド

 上海を1日で満喫するなら、朝から上海ディズニーランドを訪れるのがおすすめです。2016年開園の同園は、世界最大規模のディズニーランドの一つで、ここでしか体験できない「トロン・ライトサイクル・パワーラン」や、「カリブの海賊:沈没の戦い」など革新的なアトラクションが充実。朝から思いきり遊ぶには、オンラインでチケットを事前購入し、開園と同時に入場するのがコツです。昼食は園内のレストランでキャラクターをテーマにした食事を楽しみながら、午後もショーやパレードを満喫。夕方まで存分にディズニーの世界観に浸れます。

 

キラキラ上海を代表する上海外灘の夜景は、SNSの映えスポットとして常時混んでおり、交通規制がかかっている(一方通行)

 夜は市内に移動し、上海の象徴とも言える外灘(バンド)の夜景 を堪能しましょう。黄浦江沿いには19世紀の欧風建築群が並び、対岸の陸家嘴には近代的な高層ビル群がそびえ立ちます。夜になると、ライトアップされたオリエンタルパールタワーや上海タワーがきらめき、歴史と未来が融合する幻想的な光景に包まれます。川沿いを散策したり、遊覧船に乗って水上から眺めるのも格別。ディズニーでの夢の一日を締めくくるのにふさわしい、上海ならではの夜景体験となるでしょう。

 

上海を1日楽しむ方法② 

西洋と中国が交差する魅力を散策

2025年6月末に南京西路に登場したクルーズ船タイプ店舗のル・カフェ ルイ・ヴィトン

 上海を朝から楽しむなら、まずは明代の趣を残す庭園「豫園」を歩き、周辺の城隍廟や豫園商城で名物の小籠包を味わうのがおすすめです。午前は旧フランス租界へ足を運び、武康路や復興西路の並木道を散策しながらカフェやギャラリーに立ち寄れば、異国情緒を感じられるでしょう。
新天地では洋館風の建築や雑貨店が並び、写真撮影や買い物も楽しめます。途中で南京西路に登場したルイ・ヴィトンのクルーズ船型店舗「ル・カフェ、ルイ・ヴィトン」で贅沢なひとときを過ごしたり、「スターバックス リザーブ・ロースタリー上海」で世界最大級のコーヒー体験を楽しむのも特別な時間です。

 

世界最大級のコーヒー体験を楽しめるスターバックス リザーブ・ロースタリー 上海

 午後は人民広場にある上海博物館で中国美術を鑑賞するか、上海中心の展望台に登って摩天楼を一望するのもおすすめ。夕方には田子坊で雑貨屋や工房をめぐり、路地に漂うアートと下町の雰囲気を味わえば、伝統と近代が交差する上海の魅力を十分に感じられるでしょう。
 広州への戻りは再び夜行寝台超特急で。週末たっぷり楽しめる移動旅と上海満喫を是非体験してみてください。

 

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