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【中国自動車最前線1】BYD発、メガワット超充電時代到来2025.03.27

3月17日、BYD(比亜迪)は「スーパーeプラットフォーム」の発表会を開催。「メガワット超充電、ガソリン車並みの充電速度」をテーマに掲げ、1000Vの電圧と1000Aの電流に対応する同プラットフォームの技術を披露した。これにより、1メガワット(1000kW)の充電出力と10Cの充電倍率を実現し、電動車の充電性能を飛躍的に向上させる。
技術的ハイライト
電動車の課題の一つである充電速度の向上に対し、BYDは大きな進展を遂げた。従来、中国市場では5分間で200㎞の航続距離を回復できる充電技術が発表されていたが、「スーパーeプラットフォーム」では5分の充電で400㎞の航続距離を回復可能となった。例えば、「漢L」は7%から62%までの充電がわずか5分で完了し、スマートフォン並みの充電速度を実現。王伝福・董事長兼総裁は、「このプラットフォームを搭載した『漢L』および『唐L』を市場投入する」と明言し、予約価格は漢Lが27~35万元、唐Lが28~36万元に設定されている。
BYDの強み
急速充電技術の分野では、BYDに加え、小鵬が800Vアーキテクチャを発表し、理想汽車は「MEGA」に5Cバッテリーを搭載するなど、競争が激化。バッテリーメーカーも「麒麟バッテリー」や「神行バッテリー」など超急速充電対応の新製品を開発している。
BYDはバッテリーメーカーとしての強みを生かし、競争に参入。第2世代ブレードバッテリーを採用した1000Vアーキテクチャを基盤とし、「フラッシュチャージバッテリー」と命名した。同バッテリーは、従来の960㎜のロングブレード型から約450㎜のショートブレード型へ進化し、構造強度を維持しつつ内部抵抗を低減。これにより、超急速充電に最適化された。
また、セルの発熱と冷却性能の向上にも注力。超高速イオンチャネル、超伝導電解液、ナノレベルのセパレーターを採用し、短刀型バッテリーの積層構造とサイドターミナル設計を組み合わせることで、セル内部の抵抗を50%低減し、発熱量も50%削減。これにより、業界最高水準の10C充電を実現した。
冷却技術の最適化として、直冷・直熱方式の冷媒を採用。冷却速度が格段に向上し、両面冷媒冷却により熱交換面積を100%拡大、熱交換性能を90%向上させた。これにより、CATL(寧徳時代)の「麒麟バッテリー」を上回る性能を発揮している。
充電インフラと市場戦略
「フラッシュチャージバッテリー」に対応する急速充電インフラについて、王氏は、4000基以上のメガワット超充電スタンドを設置し、さらにこの技術を社会資本に開放し、共同で充電ネットワークを構築する方針を発表。蓄電池事業を活用することで、自己供給型モデルを確立し、コストを最小限に抑える。
発表会では、同社の「メガワット超急速充電蓄電ソリューション」も公開。超急速充電スタンドにメインユニットと蓄電キャビネットを組み合わせることで、電力網の容量制限を克服し、さまざまな場所に超急速充電ステーションを設置可能な体制を整えている。
さらに、既存の急速充電スタンドにも対応可能である点が強みだ。王氏は「デュアルガン充電技術」により、通常の急速充電スタンドをフラッシュチャージ対応のスタンドへと変換し、公共の充電インフラを最大限活用する計画を明らかにした。この「オールシナリオ・メガワットフラッシュチャージ技術体系」により、2基の250kW充電スタンドを同時利用し、最大500kWの充電出力を実現する。
未来への展望
「スーパーeプラットフォーム」は単なる充電速度の向上にとどまらず、車両の電子・電気アーキテクチャ全体を刷新。モーター、バッテリー、電力制御といった中核技術を全面的にアップグレードし、電動化技術のさらなる統合を進めた。
もっとも重要なのは、超急速充電ネットワークの普及である。インフラが整わなければ、車両側が超急速充電に対応していても、その恩恵を十分に受けることはできない。
同社は、今後2~3年の間に、同社の超急速充電ネットワークを整備していくことで、純電動市場における競争力を最大化にしていく。その、固体電池の本格量産はまだ実現していない可能性が高いが、「全民超充時代」はすでに到来しているかもしれない。