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【第11回中国国際老齢産業博覧会】迫る高齢者社会への各企業の対策2025.12.09

JETROによって設置された共同ブース
こうした課題の解決に向け、11月27〜29日に海珠区の保利世貿展覧館で開催された「第11回中国国際老齢産業博覧会(以下、シルバー産業博覧会)」では、各社がITやAIをはじめとした最新テクノロジーを活用し、中国の介護現場における人材不足への取り組みを紹介した。
来場者は8万人超、高齢化への関心が着実に上昇
日本パビリオンでは、JETROが共同ブースを設置し、25の企業・団体が参加。その中で、日本および中国で介護事業のコンサルティングを手掛ける「株式会社エイジングサポート/日本ウエルエージング協会」も代理出展を行った。同社の中島浩司特派員は、「一定の経済力を有する中国の方々の間では、高齢者医療や介護のノウハウを求め、日本を訪れて学ぶケースが増えています」と現状を説明する。

歩行補助外骨格を体験する中島氏
また、同社が運営する独自の情報共有チャットのQRコードをブースに設置したところ、3日間で330名が登録。現場の課題解決に資する日本の介護ノウハウへの関心の高さが、数字としても裏付けられた。
社会的立場の低い介護従事者

北京松果養老有限会社の王氏(写真右)
中国では、日本以上に身体を使う職業を敬遠する傾向が強い。特に、保護的に子どもを育ててきた親にとって、自身の子どもが決して高収入とは言えない介護職に就くことは「世間からどう見られるか」という不安が大きく、これが職業選択の抑制要因となっている。こうした社会的偏見が、介護職の魅力を低下させていることは否めない。
「先進的な医療・介護ノウハウが蓄積された日本と比較すると、中国では認知症を含む医療・介護への理解がまだ十分とは言えません。行政、つまり国や地方政府が、将来の介護人材を育成するための法整備や補助金制度を整え、人材開発に本腰を入れる必要があります」と王氏は述べる。
高齢化が急速に進む中国において、介護人材不足は社会全体の課題であり、制度面・教育面の両方向からの改革が急務となっている。
急速に進むIT、AI化、ロボット導入

抖音(tiktok)ブースでは、インフルエンサーたちがEC用に商品のライブコマースを行っていた

洗剤やシャンプーなどの商品をライブ中継

歩行補助外骨格「GoGo速行外滑骼」を展示する程天科技
広州モーターショーでも話題を集めた華為の「鴻蒙シリーズ」。そのスマート運転席と同様に、家庭でもスマートな生活ソリューションを提供するのが「鴻蒙智家(スマートホーム)」である

ロボット義手も展示

スマート介護犬。かつてのAIBOが進化するとこうなる

中国聯通が管理する養老介護のプラットフォーム

越秀グループが経営する高級老人ホームの越秀銀幸
さらに、不動産大手の越秀グループが展開する「越秀銀幸」も、高齢者向け介護施設を出展し、生活支援・医療連携など多様なサービスを紹介していた。今回の博覧会では、介護の未来を支えるさまざまな技術やアイデアが集結し、まさに“夢のようなビジネス介護”の在り方を感じさせる内容となっていた。

日本で言う福祉車両も出展。しかし、日本で普及している車両と比べるとまだまだ物足りない
人手から逃れられない介護事情

広州モーターショーでは客寄せパンダ的な二足歩行ロボットが活躍していた。しかし、人間を持ち上げる技術にはまだ達していない
現在、一般家庭の年金は月3000〜4000元、公務員でも月1万元前後が平均とされる。一方、スマート介護犬は1台3万元、GoGo速行外骨格でも1台8000元と高額だ。さらに、大手不動産企業が運営する高級老人ホームの利用料も月1万元近くに達し、現状の年金水準では十分とは言えない。ここでは、充実した補助金制度が整う日本との制度的な差が如実に現れている。
また、一定の経済力を持つ高齢者の間でも「人手よりロボットを選びたい」という傾向が強まっているという。「弊社のブースには、『10万元出すから介護ロボットを紹介してほしい』と話す方もいました」と王氏は明かす。
介護の現場では、本来は人とのコミュニケーションが重要だが、介護される側の中には意思疎通が十分に取れず、人間よりも命令に忠実に反応してくれるロボットのほうが“気が楽”と感じる人もいる。
結局のところ、介護の最後は人手に頼らざるを得ないのが現実だ。だからこそ、介護現場を支える従事者に対する行政の支援は、すでに待ったなしの状態にある。













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