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【日本の自動車業界が熱狂する祭典】JMSで感じた主要自動車メーカーの印象を大公開!2025.11.05

JMSの会場

 現在東京ビッグサイトで開催しているJMS(ジャパン・モビリティ・ショー)(10月31日〜11月9日)に行ってきた。国内外完成車メーカー27社、部品メーカーやモビリティ関連60社以上が参加した同ショーでは、最新の完成車や今後出るであろうコンセプトモデルといった未来に繋がる技術やスタイルが好評を得ている。今回は、完成車メーカーをベースに、各メーカーの気になった部分を紹介していく。

国際ブランドに昇格したセンチュリー。スポーツクーペは大行列で人数制限を設けていた

 全体的に参加客の混み具合が多かったトヨタブースは、トヨタ、レクサス、そして新規に設立したセンチュリーに傘下のダイハツを含めた南エリアを占めている。3月から9月までの世界中の合計販売記録は500万台超と25年度の年間販売台数が1000万台を超える勢い。それもそのはず、HV(ハイブリッド)をはじめ、スポーツカーやミニバン、SUVなどの車両がまんべんなく売れており、日本国内市場では特定の車両が受注停止、もしくは納期まで半年以上かかるほどのバックオーダーを抱えている。

未来のハイエース

人機爆発ですぐ受注停止になりそうなRAV4シリーズ

レクサスは6輪ミニバンLSコンセプト以外新しい発見が見つけられなかった

 未来のハイエースのコンセプトカー、新型RAV4、FJクルーザーなど、あっという間に受注を締め切りそうな新型乗用車ばかりでなく、新たに設立したセンチュリーブースは並び待ち必須の混み具合だった。新たなクーペスタイルも登場しロールスロイスやセンチュリーに比肩するブランドへと成長を遂げたセンチュリー。20年前なら5LV12エンジン搭載以外なんの話題にもならなかったセンチュリーだが、ここまで大化けするのも珍しい。反対にレクサスは珍しいの6輪のミニバンタイプ(LS コンセプト)が出たが、見どころはここしかなかった。
ホンダ

ホンダジェットのモックアップ

 4輪事業をEVシフトに全力を注いできたホンダだが、その目論見はやや外れつつある。今回の展示では、四輪・二輪のほか、ホンダジェットのモックアップや、発射から100〜150mまで飛行可能な「未来のロケット」までを披露していた。このロケットをどのようなビジネスに結びつけていくのか、想像するだけでも興味深い。

の4車種の中で売れそうなクルマは4枚目のSuper-ONE Prototype。1枚目のジンベイザメの口のようなHonda 0 SALOON Prototypeは見慣れてくるとカッコイイ??

新型CR-V。今のホンダで300万円台にするのは厳しいかな

ホンダの2輪はカッコいい。次に買うなら乗り降りしやすいレブル250を考えている

 一方で自動車部門では、次期型CR-Vや「Super-ONE Prototype」をはじめ、ホンダZEROシリーズが登場した。中でも印象的だったのは、カウンタックを思わせるデザインの「Honda 0 SALOON Prototype」と「Honda 0 SUV Prototype」である。この2車種は、現行デザインのまま2年後の発売を目指しているというが、日本市場でどこまで受け入れられるかは未知数である。登場当初こそ話題をさらうだろうが、その熱は次第に冷めていく可能性も否めない。
その一方で、軽自動車のEVをベースにした「Super-ONE Prototype」は、思わず欲しくなるほど完成度の高いデザインであった。N-BOXやフリード、ヴェゼルに代表されるように今のホンダは小型車でこそ真価を発揮するメーカーであると感じた。そういえば、ソニーとの共同開発によるEVカー「AFEELA」は、今もなお息をしているのだろうか。

日産

下がフジドーン、上が至極のツートーンカラーを纏った迫力ある新型エルグランド

賛否両輪となった外観デザインだが、実物は意外とカッコいい

 旧経営層、すなわちカルロス・ゴーン時代から続く負の遺産からいまだ立ち直れていない日産。新車発表よりも資金調達関連のニュースやリストラが話題となる現状ではあるが、今回の目玉展示は何といっても16年ぶりのフルモデルチェンジを果たすエルグランドの登場である。フロント周りの組子デザインやバックドアの造形については賛否が分かれているものの、筆者としてはアルヴェル(アルファード/ヴェルファイア)の顧客層を一気に奪う勢いで突き進んでもらいたいところ。朝焼する富士山のイメージカラーにした「フジドーン」と「至極」の2色を纏ったその勇姿は、2026年夏にお目見えする予定だ。

新型アリア

新型リーフ

 エルグランドの存在感に話題をさらわれた結果、新型アリアと新型リーフというダブルEVコンビがやや霞んでしまったのは残念。1台でも多くの売上を稼ぐべく、顧客の利便性を高めるためにも、急速充電のオプション設定は早急に廃し、標準装備とすることを望みたい。
マツダ

注目されるロータリーエンジンとモーターを搭載したPHEV「マツダビジョン X-クーペ」だが、マツダ単独開発では厳しいと思うがどうだろうか?次期型86&ロードスター同様開発はトヨタと手を組む…シナリオはないな

 販売台数が低迷しているにもかかわらず、株価だけは好調を維持しているマツダを苦しめている要因は、かつての経営陣が掲げた「2%戦略」である。同社の世界シェアがおよそ2%であることを根拠に、「シェア拡大よりも既存ファンの共感を得るブランドづくりとクルマづくりを重視する」という方針を採用し、大型SUVを中心とした「ラージ商品群技術」をグローバル展開した。しかしこの戦略は期待どおりの成果を上げられず、2025年4〜6月期の決算では461億円の赤字を計上するに至った。

2.2Lディーゼルエンジンをなくすと言われている次期型マツダCX-5。日本国内はディーゼルの需要が高いだけに、HVだけだと物足りなくなる

先代の経営陣からお蔵入りされていた次期型マツダ2ともいわれるビジョンXコンパクト。これはこれであり

 苦境にある同社だが、トヨタと共同で次期型86&ロードスターを開発しているとの噂も浮上している。そんな同社の展示では、ロータリーエンジンを発電機としPHEV技術を搭載した「マツダビジョンXクーペ」や、未来のマツダ2を示唆する「ビジョンXコンパクト」、さらに次期型CX-5(欧州仕様)が登場した。クーペの市販化は難しいと見られるものの、ビジョンXコンパクトは余計な要素をそぎ落としたシームレスなデザインと愛らしい表情が印象的で、人気を呼びそうである。筆者としては、1.5Lおよび2.2Lディーゼルエンジンの復活をぜひ望みたいところだが…
スバル

パフォーマンス-E STI コンセプト

パフォーマンス-B STI コンセプト

 提携先であるトヨタからハイブリッド技術の供与を受け、“極悪”とまで言われた燃費事情が大きく改善されたスバル。現行型のクロストレックおよびフォレスターにはすでにトヨタ製ハイブリッドシステムが搭載されているが、今後はレヴォーグやレイバックにも採用されることを期待したい。

トレイルシーカープロトタイプ

日本では販売を止めたアウトバックはJMSではアメリカ仕様が登場

 

フォレスター・ウィルダネス

 今回の注目展示車は、クロストレックにSTIパーツを装着し、車高を落としたうえで2.5Lターボを搭載したハッチバックの「パフォーマンス-B STI コンセプト」を筆頭に、次期型アウトバック、フォレスター・ウィルダネス、BEVのトレイルシーカープロトタイプなど、SUV群に重点を置いた構成となっている。近年のスバルは自動運転支援システム「アイサイト」ばかりを前面に打ち出しているが、乗り心地が大幅に向上したレイバックやフォレスターといったモデルを、もっと積極的に訴求してもらいたいところ。
三菱

6名乗りEVクロスオーバー三菱エレバンスコンセプト

 株価の低迷が続く三菱自動車ではあるが、JMSではアウトドア志向を前面に押し出した意欲的な展示を展開している。世界初公開の6名乗りEVクロスオーバー三菱エレバンスコンセプト、モデルチェンジを果たしたデリカミニをはじめ、駆動系を強化したデリカD:5、ラリアート仕様のトライトン、さらにクロスオーバータイプのコンセプトカー「三菱エレヴァンス コンセプト」など、多彩なラインアップを披露した。

マイチェンを果たしたデリカD:5では走破性能を高めた新4WDシステム「S-AWC」を採用

2年弱でモデルチェンジを果たした軽ハイトワゴンのデリカミニはフル装備で300万円を行く。マスコットの「デリ丸」人形も人気

 いずれのモデルにも共通して感じられるのは、“三菱らしさ”である走破性と冒険心だ。厳しい経営環境の中にあっても、ユーザーの期待に応えようとするその挑戦的な姿勢は頼もしい。ぜひこの勢いを未来につなげ、かつての輝きを取り戻してもらいたいところである。
スズキ

スズキのVision e-Sky

BEVのEヴィラ―タとe EVERY CONCEPT

 JMSのスズキは、会社のスローガン「By Your Side」を掲げ、「あなたに、ワクワクの、アンサーを」をテーマに出展した。軽乗用BEVコンセプト「Vision e-Sky」や2輪BEV「e-VanVan」、次世代四脚モビリティ「MOQBA2」など、スズキの総合モビリティメーカーとしての技術力を余すところなく示した内容であった。

1年ぶりに受注を再開したジムニーノマド。室内はそこまで広くないのでファミリーには厳しい

 商用軽バン「e EVERY CONCEPT」やバイオメタンガス(CBG)事業の紹介など、環境対応と社会課題解決への取り組みも明確に打ち出している。これらの展示を通じて、同社は「お客様一人ひとりに寄り添うモビリティ」を目指し、電動化とサービス化の未来に向けた確かな一歩を踏み出したといえる。黒船ことBYD軽乗用BEVの殴り込みにどう立ち向かうか楽しみである。
ダイハツ

不正でイメージを低下させたダイハツの救世主となっている新型ムーヴ

2026年8月に現行型が廃止となる軽オープンのコペンだが、次期型はFRを採用するといわれている

同社お得意の軽ハイトワゴンはストロングHV仕様のK-VISION

住宅地で乗りたくなるミゼットX

 一昨年に発覚した長年にわたる数々の不正は、OEMとして供給していた親会社トヨタや関連会社スバルの名誉を汚し、さらにOEM製品を含め販売中止に追い込む結果となり、消費者にも多大な迷惑をかけたダイハツ。そんな負の遺産からの脱却を図るべく、今回の出展には並々ならぬ意気込みが感じられる。発売中の新型ムーヴをはじめ、FRベースの軽オープンスポーツ「K-OPEN」、軽自動車初のストロングHVを投入したハイトワゴン「K-VISION」、さらには次世代の「ミゼットX」など、小型車好きの心をくすぐるモデルを多数揃えてきている。
BYD

今年のニュルブルリンク(ドイツ)で最速タイムを叩き出したBEVスポーツの抑望U9(YINGWANG)

 10年以上前のモーターショーでは、日本車の模倣で悪名を馳せたBYDも、いまや中国自動車市場を牽引するトップメーカーへと躍進した。もっとも、同社には約3200億元に及ぶ「隠れ負債」という不安材料もある。しかし、新型車を次々と投入し、積極的な値下げを行うその戦略は、消費者にとって歓迎すべき動きである。

価格が高騰している日本の軽自動車市場に新風を起こすか期待されている軽BEVのラッコ

今後日本市場にも導入するPHEVのシーライオン6

 2023年に日本市場へ参入したBYDは、日本人消費者により受け入れられることを狙い、今回のJMSでは26年夏に導入する軽EVハイトワゴン「ラッコ」を出展した。N-BOXをはじめとする軽のスーパーハイトワゴンをベースに研究開発しており、質感の高い外観に電動スライドドアは標準装備。動画で内装を見る限り、アイボリーとブラックのツートーン仕様にパワーシート、液晶モニターなど先進装備満載と従来の日本の軽自動車に負けず劣らずかなり作り込まれている。航続距離180㎞と300㎞の2タイプのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載する。

もし最低グレードが補助金なしで200万円を切る価格で登場すれば、軽EV市場のゲームチェンジャーとなる可能性も高い。近年、装備の充実に伴い軽く300万円を超えるようになった日本の軽自動車市場に、同社が新風を吹き込んでくれることを期待したい。

また、年末に日本での発売が見込まれている「シーライオン6」は、2モーター式のPHEVであり、1.5Lエンジンとの組み合わせがどのような性能を発揮するのか、今から楽しみである。

商用コーナーでもマイクロバスをビジネス仕様に変えたBYDのJ6。最後部にはプライベート空間があるが、かなり席は盛り上がっている

 今回のJMSは、2年前と比べて参加企業および展示車種が減少した印象を受ける。なかでも、アメリカのトランプ大統領が注目する「アメ車の日本輸入拡大」に直結するはずの米国メーカーの出展がゼロであった点は、今回のJMSにおける最大の失策といえる。トヨタをはじめ、各メーカーが自社ブースで積極的に盛り上げを図っているにもかかわらず、主催側であるJMSの組織が率先して動かないのでは、イベント全体としての面白みに欠ける結果となった印象だった。

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