生憎の雨でも送龍宴は盛り上がった
広州市越秀区に位置する楊箕村では、端午節の時期に「送龍宴」と呼ばれる伝統行事が行われている。これは旧暦5月16日に開催される重要な村祭りであり、村民が「龍船飯」を囲み、地域の団結と平安、そして豊かな暮らしを祈念するものである。
01送龍宴とは何か

楊箕村祠堂一帯で行われた送龍宴。村全体のつながりを再確認する機会でもあった

テーブルでは、豪華な料理がズラリと並び参加者たちも顔をほころばせる
送龍宴は、端午節の締めくくりとして毎年行われる宴である。単なる食事会ではなく、村全体のつながりを再確認する機会であり、長年にわたって受け継がれてきた地域の重要な文化遺産でもある。現代の都市生活では失われつつある「人と人の絆」を今なお感じられる稀有な風習である。今回、楊箕村からの招待により、友和のお客様及び友和スタッフら10名が同イベントに参加した。
02行事の概要

イベントに参加した方たち
開催日時:旧暦5月16日(例年6月中旬)、夕刻より開始
場所:楊箕村祠堂一帯
参加者:村民および招待客
当日は祠堂前の広場に長テーブルが並べられ、村民が続々と集まってくる。開始の合図とともに料理が次々と配膳され、宴が始まる。場は終始、笑顔と語らいにあふれ、老若男女が世代を越えて交流する光景が見られる。
03龍船飯の内容と象徴

今回提供される料理一覧
送龍宴の中心となるのが「龍船飯」。これは豪華な宴席料理の総称であり、各料理にはそれぞれ意味が込められている。
脆皮焼肉:カリカリに焼き上げられた豚肉で、富と繁栄の象徴とされる。
白切鶏:蒸し鶏の塩仕立て。素材の味を生かした一品で、健康長寿を願う料理である。
扣肉(kòuròu):柔らかく煮込まれた豚バラ肉。家庭の和やかさと安定を象徴する。
これらの料理を囲んで村民たちは語らい、日々の感謝と未来への期待を共有するのだ。
04地域文化としての意義

宴会では、白酒で乾杯!
送龍宴は、地域の連帯感を育む重要な行事である。都市化が進む中にあっても、杨箕村ではこのような伝統を守り続けており、現代社会における「村」というコミュニティの在り方を示している。祠堂を中心とした信仰や儀礼は、単なる形式にとどまらず、精神的な支柱としての役割を果たしている。広州という大都市の一角に、今も息づく伝統行事・送龍宴。そこには、時間を超えて受け継がれる地域の誇りと、人と人とのつながりがある。もしこの地を訪れる機会があれば、こうした地域文化に触れてみるのもまた一興である。
