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【中国自動車最前線】哪吒汽車、栄光から債務危機までの軌跡2025.04.17

2024年広州モーターショーの哪吒X
情報源
哪吒汽车:从登顶销冠到债务缠身
https://36kr.com/p/3249868932555017
リストラ開始
報道によれば、近日、数多くのディーラーが浙江省の哪吒汽車工場に押し寄せ、責任者による説明を求める事態となっている。関係者の証言によれば、同社は2023年9月以降、リストラの断行、生産の停止、人員の削減などに踏み切りつつある中で、すでに数十億元規模の車両代金を受領しているにもかかわらず、車両の引き渡しが行われていないという。
1カ月前には、インターネット上において「哪吒汽車が研究開発チームを解散し、従業員に退職手続きを促しており、ディーラーらが債権を主張して上海の本社に詰めかけている」との投稿が拡散された。これに対し、哪吒汽車は「事実と異なり、人員整理は正常な組織調整であり、近日中にサプライヤー大会を開催予定である」との反論を示した。
しかし、2023年10月には社員の年収に応じた一律の減給措置を実施しており、年収100万元以上の従業員は30%、50万元以上は20%、30万元未満も5%のカットが適用されたとの報道がなされている。
これら一連の動きは、同社が経営的に極めて困難な状況にあることを如実に物語っている。関連企業である合衆新能源汽車有限公司も資金繰りに窮し、2024年初頭には20億元相当の株式が裁判所により凍結された。さらに、創業者が消費制限令を受け、600億元超の債務が未払いであるとの情報もある。
現在、桐郷・南寧などの三大工場はいずれも稼働停止状態にあり、サプライチェーンは崩壊の危機に直面している。アフターサービスにおいても大量の修理待ち車両が積み上がり、部品供給は滞っており、サービスセンターは機能不全に陥っている。車主からは「修理に数か月かかる」「部品が来ないまま放置されている」など、苦情が相次いでいる。
加えて、中古市場における哪吒汽車の残価率は大きく下落しており、資産価値の急減によって消費者の信頼も失われつつある。これにより、新規販売も減速し、資金の回転がさらに困難となるという悪循環に陥っている。
過去の栄光
2019年の広州モーターショーでは、映画キャラクター「哪吒」とのコラボが行われた哪吒ブース
同社の過去を振り返ると、これまでの10年間は興亡の歴史であった。 2014年、同社の親会社である合衆新能源(新エネルギー)社が設立され、創業者である方運舟(元奇瑞新能源の役員)が「人民のために車を造る」というスローガンを掲げた。17年、地方政府の出資を受け、翌年、初のモデルである「哪吒N01」が発売された。価格は6万元からの低価格の電動車として位置づけられ、コストパフォーマンスが主力とされた。これが初期の哪吒であり、補助金と低価格政策によって車業界で成功を収めてきた。 しかし、技術的な蓄積の不足やブランドの存在感の低さといった問題にも直面しており、これが同社の足を掬う結果となった。
自動車企業が不安定な状況に陥る理由は、資金の過剰消費(盲目的な拡大、自社工場建設、狂ったようなマーケティング)、製品の失敗(低価格での赤字、高価格での売れ残り)、資金調達の途絶(IPO失敗、資本の撤退)などが挙げられる。同社の状況は、すでに結論が出たと言える。
同社に経営危機により、最終的には、ユーザー・ディーラー・従業員・サプライヤーといった利害関係者すべてがその代償を負うことになった。電気自動車という成長市場においてさえ、確固たる基盤なしに企業が持続的に生き残ることは極めて困難であるという現実を、同社の失敗は如実に示している。