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美味いと好評の社員食堂に潜入【食いしん坊隊長の昼ごはん探訪】2025.10.16


黄埔区永和開発区にある新電元は、今年で創立31年目である
埼玉県朝霞市に開発拠点を構え、半導体製品、電装部品、電源機器、急速充電器などを手がけている。中国をはじめ、ベトナム、タイ、インドネシア、インドといった国々に製造拠点を展開するグローバル企業である。
広州工場は、旧蘿崗区と合併した黄埔区の永和開発区に立地しており、主に二輪車用の充電部品「レギュレーター」などを生産している。売上の約5割はグループ内販売が占め、自社部品を用いた製品組立によって他社に模倣されにくい一貫製造体制を確立している。
また、EV(二輪電動車)市場の成長を見据え、成長市場向け電装部品の開発も進めており、電気・電子分野での技術力の高さが同社の強みとなっている。
筆者(左)と青柿豊董事・総経理
食堂の運営は完全に自社管理であり、もちろん無料である。
同社の董事・総経理である青柿豊氏によると、「創業当初は周囲に店が一軒もなく、社員の福利厚生として自前の食堂を設けた」とのこと。当時は工場内に火を使う調理場を設けることも許されていたが、現在では安全規制が厳しくなり、外部委託が一般的になっている。
同社の社員食堂の様子
最初プレートにご飯とおかず2品を盛り付ける
案内されたテーブル席には涎が出そうなほど美味しそうな(見た目が辛そうな)料理が並んでいた
特に印象に残ったのは麻婆豆腐である。四川省出身の料理長が腕を振るう一皿は、舌に残る辛さと香りが絶妙で、まさに“本場の味”そのものであった。日本人来訪時は、料理長が「いつもより気合を入れて辛さを調整する」という話も聞いた。
辛さに汗を流しつつ、麻婆豆腐を白米にかけて食べる瞬間は、まさに至福である。
同社の社員食堂の献立表。日本人駐在員には一部別メニューが用意される
「当時、自分の店を開く予定だったが契約がまとまらず、そのタイミングで弊社の募集を見つけて応募したそうです」と元駐在員は語る。
以来、食堂は四川風の味付けが主流となり、いまや社員たちにすっかり定着している。昼食は約200食、夕食180食、夜食40食が提供される。夜間は別の料理長が担当し、調理場は一日中フル稼働状態である。
青柿氏は「社員食堂は大切な福利厚生の一部」と強調する。
賃金上昇が続く広東省において、給与だけで満足度を高めるのは難しい。そこで、外部委託に頼らず自社運営を維持することで、社員が安心して働ける環境を整えているのだ。
美味しい食事がモチベーションを高め、結果として高い生産性にもつながっているという。
もし同社を訪問する機会があれば、会議だけでなく、ぜひ食堂での昼食も体験してほしい。
その一食が、新たなビジネスの縁を生むかもしれない。
同社で長年勤務している劉氏
同社の敷地内にはたくさんのライチの樹が植えられており、毎年6月には真っ赤なライチ実が樹の一面を賑わせている。シーズン中の社員食堂のデザートはライチの日が続く
広州新電元データ
(経済技術開発区永和経済区)
☎️020-8297-3472
HP:https://www.shindengen.co.jp