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南寧とベトナム・ハノイを結ぶ国際列車が5年ぶりに運行再開2025.05.29

ザーラム駅に停車中のT8701次(MR2)。2009年10月撮影

 

5年ぶりの運行再開

2009年乗車当時の列車サボ

 2025年5月24日(土)より、広西チワン族自治区の南寧とベトナム・ハノイ(ザーラム)を結ぶ国際列車の運行が5年ぶりに再開された。列車番号T8701/T8702次が付されたこの列車は、18時5分に南寧駅を出発し、翌朝5時(ベトナム時間)にハノイに到着する。しかも毎日運行だ。国境を越えることで、言語もルールも通貨も変わる。これを同じ列車の車内で体験できる点に、国際列車ならではの魅力がある。なお、日本のパスポートならベトナムのノービザ滞在は45日間有効だ。

 

2009年1月より運行スタート

2009年乗車当時の牽引機は東風4B型。今は東風4D型か4DK型

 同列車は2009年1月1日に運行を開始したが、現在も中国鉄道の公式アプリ「12306」ではオンライン購入ができず、南寧駅の1番窓口での対面購入が必要となる。広州から南寧までは高速鉄道で約4時間のため、13時頃に広州南駅を出発すれば十分に間に合う。

 車両は4人用2段ベッドの軟臥(RW25G系)コンパートメントを5両連結しており、切符の価格は215元と非常に割安である。混雑が心配されるが、春節や夏休みなどの繁忙期を除けば常に空席が多く、発車1時間前に窓口に並べば問題なく購入できる。
全行程は396㎞で、停車駅は南寧、扶綏、崇左、寧明、憑祥(中国出国)、同登(ドンダン、ベトナム入国)、北江、嘉林(ザーラム、ハノイ北郊外3㎞)の計8駅である。最大の懸念点は、深夜の国境越えにある。時刻表によれば、憑祥到着は23時41分、ドンダン入国は深夜1時55分で、乗客は一旦車両を降りて出入国手続きを受けねばならない。手続きはおよそ1時間を要し、その後再び車両に戻ることができる。

 

深夜に中国国境の憑祥駅に到着

 

夜間国境超えの体験

国境のドンダン駅の外観と内部

 この深夜の通関に不便さを感じる旅行者は多く、午前1時ごろに同登で列車の乗り換えおよびスーツケースを持っての通関を行い、1時間ほど列に並ぶ必要がある。この点に耐えられるか否かが、乗車を検討する際の判断材料となる。ドンダンからザーラムまでの列車番号はMR2となり、中国の列車番号が通じないので注意。
憑祥駅に両替所があれば、少額でよいので人民元または米ドルをベトナムドンに両替しておくことを推奨する。ザーラム到着後、市内への移動において必要となるためである。ベトナムドンの桁数の多さに驚くかもしれないが、あらかじめ把握しておけば戸惑うことはない。

 

2009年10月のザーラム駅前。5時台はすでに明るい?

 ベトナム側のドンダン駅はフランス風情の漂う小さな駅であり、構内にはベトナムドンへの両替所が設けられている。ただし、旅行者の中には憑祥で両替した方がレートが良かったとする声もある。終点のザーラム駅はこぢんまりとした駅で、駅を出るとすぐの場所にいくつかフォー(ベトナムの米粉麺)を提供する店が立ち並んでいる。しかし、到着時間の午前5時はまだ営業前である。バス出発までの1時間はザーラム駅の待合室で過ごすことになる。
近くのバス停からは、早朝6時よりハノイ中心部へ向かうバスが運行されている(2009年当時の運賃は3000ドン、現金払い)。このバスに乗り市内へ移動し、朝食にフォーを楽しむのも旅の一興である

 

北京からの特快列車とも南寧で接続

ベトナム内を運行するD14E

 また、北京西駅から南寧まで運行されているZ5次列車は、T8701次列車との連絡運転を継続しており、Z5次列車で南寧に到着した乗客はT8701次に乗り換えてベトナムへと向かうことになる。この間に約3時間の乗り継ぎ時間が確保されている。

列車の牽引機関車は、南寧から同登までは中国側の南寧局邕段所属DF4D型またはDF4DK型ディーゼル機関車が使用され、同登以降はベトナム側の安園機務段所属D14E型ディーゼル機関車が嘉林まで牽引を担当する。中国とベトナムの軌道は異なるため、ドンダンからザーラムまでは中国の車両が通れるように標準軌の線路を設ける三線軌条が敷かれている。

 

ザーラム駅よりハノイ方向に途切れる三線軌条。中国の車両はここまでしか行けない

 

特別感を得るために列車という選択

 現在、南寧とハノイを結ぶ交通手段としては、飛行機や国際観光バス(南寧東駅発)も整備されており、国際列車の運行再開によって、越境移動の選択肢がさらに広がった。ネット上では「バスのほうが快適である」との声が多く見られる。昼間に運行されるバスもあり、南寧東駅からの乗車が可能である。バスも国境では荷物を持って検査を受ける必要があるが、列車に比べて手続きは簡便で、所要時間も6~8時間程度と短い。列車の場合は約12時間を要するため、「飛行機の方が良い」とする意見もある。
とはいえ、「鉄道には他の交通機関にはない独特のロマンがある」と考える旅行者も少なくない。「旅に効率ばかりを求める必要はなく、道中の風景こそが旅の醍醐味である」との意見も根強い。

 同じ列車に乗ったまま異国の風情を味わいたい方には、一度この国際列車に乗ってみることを強く勧めたい。日曜日の早朝ハノイに到着して、夕方広州に戻るルートを考えれば、お手頃週末ベトナムトリップが実現する。

また、6月3日より、北京〜モンゴル・ウランバートルを結ぶK23/24次国際列車の運行再開も報じられているため、コロナ以降、国際列車乗車区間が少しずつ回復している傾向にある。日常とは違う生活体験として、国を跨ぐ国際列車乗車も週末広州を楽しむ方法としてはありだと思う。

 

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