INFORMATIONお知らせ
【第23回広州モーターショー】電動化時代から車載OS時代への主役交代がより顕著に2025.12.03

広汽グループはA区2.2を貸切で出展。広汽トヨタ、広汽ホンダも同じエリアで出展していた
「新しいテクノロジー・新しい生活」をテーマに、「第14次五カ年計画」の総仕上げと「第15次五カ年計画」の始動という歴史的節目に開催された同ショー。世界の自動車産業が百年に一度の大変革期を迎える中、同展は中国自動車の未来に向けた技術革新を披露し、国際的イベントとして、中国自身が自動車産業の変革を牽引する強い原動力を示した。
今回は、実際同ショーを訪れた筆者が感じた印象を取り上げていく。
共通のOSやソリューションに依存するメーカーの増加

ハーモニー(鴻蒙)と呼ばれる華為の自動運転+OSブース。出展メーカーの1/3は同社の技術を採用している
しかし、今回のショーでより鮮明になったのは、電動化の次に訪れる“クルマのスマートフォン化”という新たな潮流だ。18.2エリアには、車載OS・自動運転・車載チップ・充電技術を統合した華為の総合ブランド「鴻蒙智行」が出展。さらに4.2エリアには、車載OS・自動運転・中央計算プラットフォーム・通信・センサー・電源管理を一体化した総合車載プラットフォーム「華為乾崑」が展示された。

総合プラットフォームの華為乾崑はA区4.2で展示
特に、“鴻蒙智行”を日系メーカーや新興メーカーまでもが堂々と採用・展示し始めている状況は、中国市場において“クルマのスマホ化”が不可逆の段階へ入ったことを象徴している。
かつて車載OSやコネクテッド機能は、メーカー独自の“付加機能”に過ぎなかった。しかし現在では、多くの中国ユーザーが運転席周りのユーザー体験をスマートフォンと同等か、それ以上に重視するようになっている。
いまだこれらOSを採用していないメーカーが今後どのように動くのか。採用するか否かが、経営判断の大きな岐路となるだろう。
もっとも、同じプラットフォームを横並びで採用すれば所有満足度は向上するものの、各社はその先で、独自の付加価値をどう生み出すかという新たな課題に直面することになる。
中国自動車だけでやっていける

70万元からスタートする尊界S800は江淮と華為の共同開発。スマートコクピットを用意。2025年5月末から11月20日までの販売台数は1.8万台
かつて特設エリアには100万元を超える高級外車がずらりと並び、ショーの華やかさを象徴していた。しかし昨年頃から外資系ブランドの出展見送りが目立ち始め、今年はついにランボルギーニ、ベントレー、ロールス・ロイス、アストン・マーティン、ポルシェに加え、ヒョンデやスバルまでもが揃って姿を見せなかった。背景には、中国経済の減速による販売低迷や、各社が進めるコスト削減の影響があるとみられている。

小米SU7ウルトラ

小鵬G7

BYDの海洋シリーズの海獅D5のEV
こうした付加価値の積み重ねによって、「外資系ブランドがいなくても困らない」市場が徐々に形成されつつある。
今後の注目点は、中国各大手グループが激化する競争の中でどのように生き残るかである。トップセールスに君臨するBYDグループ、吉利グループに加え、新興の小米、小鵬、理想、奇瑞、そして広汽、東風、北汽、上汽、紅旗、長城、長安、江淮、奇瑞といった老舗グループまで、業界全体が再編の可能性を抱えながら新たな競争環境に向かっている。来年以降もその動向から目が離せない。
日系企業について

中国進出20周年を記念したレクサスブース

広汽トヨタの鉑智7と新型ウェイランダー
同社は中国市場向けに新開発した大型BEVセダン「鉑智7(bZ7)」を7台展示。全長5m超の大型セダンは、中国の若年層の嗜好に合致する外観・内装に加え、華為(ファーウェイ)のスマートコクピットを積極的に採用。価格は「20万元台」とされ、依然としてセダン人気が根強い中国市場でヒットの可能性が高いとみられている。
トヨタの強みは、全方位戦略を着実に進めている点にある。HV(ハイブリッド)を中心に販売は堅調で、2025年上半期の販売台数は広汽トヨタが約36万台、一汽トヨタが約37万台を記録。2025年度も世界販売1000万台の維持が見込まれる。

広汽ホンダのBEVのP7。売れ行きはいまいちだが、よく作り込まれている

新型ティアナと新型N6
日系大手3社を概観すると、中国という特異で競争の激しい市場で生き残りを図るため、開発リーダーを現地スタッフに委ね、現地サプライヤーの自動運転支援や車載OSといった最新技術を積極的に搭載する企業も増えている。
世界で最も厳しいとされる中国市場を乗り切るべく、各社のさらなる企業努力に期待したい。













企業公式アカウント
担当者直結WeChat
友和チャンネル(YouTube)