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【たこ焼き家】元トヨタ技術者が焼く、広州の“本物の味”2025.06.26

たこ焼き家の看板メニューの明石焼き(45元)。日本人からも中国人からも大好評

 2011年末、広州市内の体育東路にひっそりと暖簾を掲げた「たこ焼き家」。店主の伊原宏之氏は、かつてトヨタディラーで整備技術者として活躍していた人物である。日本国内はもとより、中国でも技術支援を行い、現地スタッフの教育やサービス改善に従事してきた。(写真協力:中島浩司さん)

 

01トヨタ流の経験を調理現場に持込む

日々厨房カウンターでカイゼンを続ける伊原夫妻

 トヨタ時代、伊原氏が取り組んでいたのは、1台の車に潜む複数の不良箇所を、限られた時間内に発見し、的確に修理するという過酷な業務。論理的な思考と段取り、そして「確実に仕上げる力」が求められる現場であった。その技術や感覚は、今の厨房でも活きている。

 

たこ焼き(各25元)は、8種類。左はソース。右はてりたま

 お客さんの注文が重なると、どの順番で何を焼けば効率的か、瞬時に判断が必要となる。焼き加減、時間、提供のタイミング、すべてがリンクしている。そういう現場の感覚は、トヨタ時代に身につけたものだ。
広州でたこ焼き屋を始めたきっかけは、妻・官海燕さんとの出会いである。当時、仕事帰りに立ち寄った居酒屋で知り合い、ほどなくして結婚。その後、夫婦で店を開くことを決めた。料理の基本は仕事帰りに1人できてちょっと料理をつまみながら軽く飲める店を目指した。味づくりにおいては、奥さんと二人三脚で試作を繰り返し、納得がいくまで何度もやり直した。

 

02材料から焼き具合まですべて“カイゼン”化

お酒に合うおつまみも好評。左上からとり皮カリカリ揚げ(40元)、とり皮ポン酢(32元)、らっきょうのおかか和え(25元)、肉みそ茄子(38元)

 伊原氏は日本各地、とくに大阪や明石を巡り、名の知れたたこ焼き・明石焼きの店を一軒ずつ訪れた。店ごとに出される8個、10個、12個の焼き立てを毎回完食し、すぐ次の店へ。焼き時間はストップウォッチで計測、粉と出汁の配合も記録。技術者らしい緻密な分析があった。
「配合を数値化することで、味のブレがなくなります。でも最終的に決めるのは舌なんです」と伊原氏。今でも、焼き上がりの味に違和感があれば、必ず夫婦で確認し合う。舌の感覚に誤差があった場合は体調のチェックまで行うという。
意外にも、広州のローカル風たこ焼きには寄せていない。あくまで「自分たちが本当においしいと思える味」を基準にしている。「誰かに寄せようとすると、味がブレてしまう。だから、お客さんの舌ではなく、自分たちの舌を信じている」と伊原氏は言う。

 

お酒に合うおつまみも好評。左上からとり皮カリカリ揚げ(40元)、とり皮ポン酢(32元)、らっきょうのおかか和え(25元)、肉みそ茄子(38元)

 伊原氏は日本各地、とくに大阪や明石を巡り、名の知れたたこ焼き・明石焼きの店を一軒ずつ訪れた。店ごとに出される8個、10個、12個の焼き立てを毎回完食し、すぐ次の店へ。焼き時間はストップウォッチで計測、粉と出汁の配合も記録。技術者らしい緻密な分析があった。
「配合を数値化することで、味のブレがなくなります。でも最終的に決めるのは舌なんです」と伊原氏。今でも、焼き上がりの味に違和感があれば、必ず夫婦で確認し合う。舌の感覚に誤差があった場合は体調のチェックまで行うという。
意外にも、広州のローカル風たこ焼きには寄せていない。あくまで「自分たちが本当においしいと思える味」を基準にしている。「誰かに寄せようとすると、味がブレてしまう。だから、お客さんの舌ではなく、自分たちの舌を信じている」と伊原氏は言う。

 

03ローカルゲストの口コミで大反響

出汁の効いたそばつゆとコロッケが合うコロッケそば55元

 

締めの一品にどうぞ。かき揚げそば(55元)に裏メニューの生卵トッピング(+5元)。生卵のほしい方はスタッフにお声掛けを

 当初は、日本人駐在員の姿が多かったが、近年は客層が大きく変わってきた。日本旅行経験のある中国人客が「本場のたこ焼きをもう一度味わいたい」と訪れるようになったのだ。口コミやSNSで話題となり、小紅書や微博などを通じて広まっていった。
「今の中国には、本物を求める人が増えています。だからこそ、私たちも中途半端なことはできません」と伊原氏は話す。材料も妥協せず、日本から取り寄せているものも多い。味を守るための努力は、見えないところにも及ぶ。
衛生面でも徹底しており、いわゆる「3S(整理・整頓・清潔)」を日々心がけている。厨房の隅々まで清潔に保ち、道具の配置や動線も常に最適化されている。こうした環境が、料理そのものへの信頼感にもつながっている。

 

仕入れたたこの鮮度が良いときのみ提供しているたこぶつ(55元)

 店内はカウンター中心のこぢんまりとした空間で、常連客がふらりと訪れては、ビールを片手にたこ焼きをつまみ、軽く会話を交わして帰っていく。仕事帰りに立ち寄れる、街の“止まり木”のような存在である。
14年間無事に営業を続けてこられたのは、そんな常連客たちの支えがあったからだという。オープン後は排煙問題や近隣からの通報、そしてコロナ禍による営業制限など、苦難も少なくなかった。弁当販売に切り替えた時期もある。それでも店を続けてこられたのは、「お客さんが支えてくれたから」と伊原氏は語る。
本物の味は、技術と誠実さの積み重ねから生まれる。広州の街角で今日もまた、夫婦のたこ焼きが一つひとつ丁寧に焼き上がっている

 

お店データ

住所:広州市天河区体育東路54号
電話:020-8751-7205
営業:18:00〜23:00(日曜日定休)
予算:150元

ご興味がある方は、下記までお問い合わせください

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