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【中国自動車最前線】覇権争いが続く「新エネルギー車都市」。深圳がリード、合肥が台頭2025.02.13

中国では圧倒的な売上を見せるBYDだが日本ではまだ受け入れられていない
都市ランキングの変動はブランド間競争の変化を映す。2025年、自動運転技術の普及と価格競争の激化で、新たな戦いが始まる。
かつて広州、上海、重慶、長春、武漢が「自動車都市」として知られたが、新エネルギー車の普及で競争の構図が一変。多くの都市が急成長を狙うようになった。
2024年、深圳は293.53万台を生産し全国首位。過去4年で2年連続トップを維持した。合肥も135万台を記録し、上海や西安を抜いて2位に浮上。
BYDは年間販売427万台で世界を席巻し、深圳、合肥、西安、長沙などで生産拠点を拡大。理想汽車や問界の好調もあり、常州や重慶も台頭してきた。
2025年、都市間競争はさらに激化し、生き残りをかけた本格的な淘汰戦が始まる。
情報源
「新能源汽车城」争霸赛:深圳领跑、合肥超上海
深圳、NEV生産量で全国トップに
2024年、深圳の新エネルギー車(NEV)生産量は293.53万台に達し、中国の自動車生産都市ランキングで首位に立った。国内NEV生産台数1,288.8万台のうち4.4台に1台が深圳産となる。
この急成長の原動力はBYD(比亜迪)だ。2023年、同社の販売台数は302.44万台、2024年には427.21万台に達し、世界1位を獲得。深圳にはBYD本社があり、坪山工場(年産35万台)や深汕工業園(第2期25万台以上生産予定)がフル稼働中だ。
都市別NEV生産ランキングは大きく変動。2022年は西安が首位(101.55万台)だったが、2023年に深圳(173万台)がトップに躍進。2024年は合肥(135万台)が2位に浮上し、西安を抜いた。
上海市は完全にテスラ依存となっている
BYDの生産拠点分散も都市別生産量に影響している。西安の生産量は2022年に急増後、2023年に減少。BYD依存度の高い長沙(2023年、市全体の88.7%)も、広汽埃安の新工場稼働でさらに成長する見込みだ。
一方、上海はテスラ依存が課題。2024年、テスラの販売台数は前年比1.1%減、上海ギガファクトリーの納車も3%減少し、NEV生産量の伸び悩みにつながった。
重慶と常州も躍進。2024年、重慶の賽力斯(Seres)は前年比182.84%増の42.69万台、常州の理想汽車は50万台以上を納車。BYDの常州工場も28.7万台を生産した。
ダークホース・合肥、逆転への道
合肥に本社を置く薇来
蔚来(NIO)も順調に成長し、2024年の販売台数は22.2万台。長安汽車やフォルクスワーゲン(VW)も生産拡大を進め、合肥は多様なメーカーが集うNEV産業拠点となった。
転機は2020年の「蔚来救済」だった。資金難に陥ったNIOに対し、合肥市は70億元を出資。これを機にNIOは本社を移転し、BYDの誘致にも成功した。BYD合肥工場は契約から着工まで42日、わずか10カ月で稼働開始という驚異的なスピードで進められた。
合肥は「完成車—部品—アフターマーケット」までを網羅するNEV生産体制を確立し、今後さらに競争力を高めていく見込みだ。
2025年、競争構造に新たな変化
1月に大幅な販売台数を落とした問界
都市の明暗を分けたのは、支援するブランドの選択だった。深圳や合肥は成功したが、判断を誤った都市は負担を抱え、成長の機会を逃した。さらに、NEVブランドの販売動向の変化が都市間競争に影響を与えている。
2025年の競争は一層激化する。問界(AITO)は1月の販売台数が2.1万台にとどまり、前年比36.5%減。一方、小鵬汽車はM03の好調で3万台を突破し、前年比268%増を記録。BYDは高度運転支援システムを10万元クラスの車種まで拡大し、価格決定権を掌握。今後、多くの新興ブランドが淘汰される可能性が高い。
NEV産業の未来は不透明であり、都市も企業も決して安泰ではない。2025年、新たな競争圧力が待ち受けている。